2013年9月17日火曜日

Mecir's Tennis (185) 練習ではうまく打てるのに試合になるとダメな人へ(1) ポジショニング

練習ではうまく打てるのに試合になるとダメな人は、比較的多いと思います。「練習では試合のように打ち、試合では練習のように打つ」とよく言われます。試合では緊張したり、ミスをしないことを優先するあまり、腕がビビる状態になるのでしょう。メンタルがその理由だということです。

確かに、それは、誰しもが経験することです。が、理由はそれだけでしょうか?

たとえば、特別な大会ではない気楽な、しかもできれば自分が普段、比較的勝率の良い(いわゆる格下の)相手と練習試合をしてみてください。その時には、緊張せずに練習と同じプレーができたとしましょう。その場合には、試合ではよいプレーができないのはメンタルが理由である可能性が高いと思います。

が、もし、そんな気楽なゲームであってもよいプレーができなかったら?そういうことは、実際にはあります。それは、もはやメンタルが理由ではなく、技術的な問題です。練習と試合で自分の何が違うのか、よく考えてみる必要があります。

たとえば、写真はメシールの試合のある場面です。メシールは、ベースラインから1mか1.5mぐらい下がったところで構えています。これは、特に変わったことではなく、多くのプレーヤーはこのあたりでボールを待つでしょう。ぷろだけではなく、ほとんどのアマチュアプレーヤーもおそらくこのあたりにポジショニングするでしょう。でも、試合ではどうでしょうか。実は、ベースライン近く(たとえばベースラインの上)にポジションしていませんか?


グランドストロークの練習では、相手がドロップショットを打つことはほとんどありません。したがって、安心してベースラインの後ろに下がってポジションをとります。ベースラインから下がってポジショニングすることには、多くの利点があります。①相手の打ったボールを長い間待てる(時間の余裕ができる)、②(薄めのグリップのプレーヤーが一般には不得意な)高い打点のボールを打たずに済む、③足元の難しいボールを避けることができ、下がりながらボールを打つ必要も少なくなる、などです。自分が打つ場所がネットから離れますので、その分、一球で仕留めるようなボールは打てません。が、ベースライン後ろからいきなりエース級のボールを打つことは、いずれにしてもめったにないことです。

しかし、試合となると、常にドロップショットのことを頭に置かねばなりません。一球でもドロップショットを決められたり、またはドロップショット攻撃を受けたりすると、ついそれが頭にあり、ポジショニングが前になります。ベースライン上や、場合によってはベースラインの中にポジションしてしまったりすることがあります。

そうすると、上の①~③の正反対の状況になりますので、逆にプレーヤーは不利になります。そして、ボールコントロールが難しくなり、だんだんと「自滅」していくわけです。

こんなことが理由で、「練習ではうまくいくけれども試合になるとダメ」というケースもあります。そういう人は、他にもメンタルではなく技術的な点で練習と試合で何か違いがないか、考えてみることには価値があると思います。

【追記】
ただし、ベースライン後ろにポジショニングができないケースがあります。それは、サービスを打った直後です。メシールも、サービス直後はベースラインの中(または上)あたりにポジションを取ります。サーブの勢いでコートの中に体が入りますので、これを避けることはできません。ただし、これは、もともとサービスで相手を押し込んでいると考えると、確率的には(普段のストロークよりも)浅いボールが来る可能性が高いので、大きな問題にはならない(むしろ、攻撃できるのでちょうど良い)と言えます。もちろん、逆に深いリターンが返ってくることがありますので、その場合にはすぐに下がって、そのボールをしのがなくてはなりません。

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